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シリーズ:常夜の穴
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常夜の穴

作者:hibiki

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    ※シナリオ形式

    〈人物〉

    ・桑野カク(12)
    ・桑野愛(めぐみ)(40)
    ・桑野栄(しげる)(40)

    ・糸杉ルリ(12)
    ・糸杉恵美子(40)
    ・糸杉武夫(40)

    ・源九郎義経(31)
    ・坂本龍馬(31)
    ・織田信長(47)
    ・武蔵坊弁慶(35)
    ・片岡常春(35)
    ・伊勢三郎義盛(35)
    ・老婆(70)

    ※略称用語
    N=ナレーション
    M=モノローグ



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    常夜の穴 17686文字

     

    ルリ「でも。ほんとに最低なのは……」

    ○神奈川県・大船駅前
       源九郎義経(31)が町を物珍しげに歩く。白い狩衣を纏い、腰には二本の短刀を差している。今剣と薄緑である。
       女性たちが、振り返って義経見る。
    女性A「なに、あの人? コスプレ?」
    女性B「でも、顔はカッコイイよね!」
    義経「(当惑し)いったい……ここは?」
       そこに激しい音が聴こえてくる。
    義経「ん? なんだ、この音は?」
       どうやら音は目の前のビル、その地下から聴こえてくるようだ。
       地下へと続く階段が見える。

    ○同・ライブハウス
       義経、入って行くと、ステージでバンドマンたちがライブ演奏をしている。
       室内はガラガラ。客はいない。
    義経「(胸に手を当て)音が……私の中まで響く?!」
       義経、バンドの演奏に聴き入り、目を輝かせる。
       演奏が終わった。
       義経、ギタリストの男に駆け寄り、
    義経「これは、雅楽の一種か?」
    ギタリスト「雅楽って何だよ。こりゃ、パンクロックだ」
    義経「番空六?(ぱんくろく?)……ろっく?」
    ギタリスト「そっ。これがロックだ」
       と、ギターを掻き鳴らす。
    義経「おぉ! ろ、ろっく! ロックか! その琵琶のような楽器は、どこで手に入るのだ?!」
    ギタリスト「ギターのことか? どこでも買えるけど、まぁいいもん買うなら、都内に出ないとな」
    義経「都か……すまないが、私を都まで案内して貰えないか?」
    ギタリスト「俺もこれから行くとこだ。お安い御用だぜ!」
    義経「かたじけない」
    ギタリスト「なんの。それにアンタが初めてなんだよ。俺たちのライブに来た客は、な」

    ○京都府・京都タワー前
       坂本龍馬(31)、タワーを見上げている。黒の羽織に白の袴で、ブーツを履いている。腰には短刀、陸奥守吉行が差してある。
    龍馬「こりゃ、まっこと凄いぜよ!」
       スマホで龍馬を撮る女子高生。
       龍馬、女子高生に歩み寄り、
    龍馬「こりゃ、なんじゃ?」
    女子高生「え、普通にスマホだけど」
    龍馬「ちっくと、貸してくれ」
       と、スマホを奪い、
    龍馬「なんじゃ、光っとるぞ。お、動きゆう!」
    女子高生「あ〜もう、それは指でスライドして」
       と、実際にやって見せる。
    龍馬「ス、ライ、ド? おぉ、滑らすっちゅう意味か!」
    女子高生「こうすると写真も動画も撮れるし、ここで検索ができるから」
    龍馬「おぉ、写真が動いちょる! こん中には色んな書物が入っとるんじゃのう! まっこと凄いぜよ!」
    女子高生「(不愉快そうに)ていうか、オジサン臭くない? お風呂入ってるの?」
    龍馬「おぉ、しまいに入ったがは、慶応三年じゃ」
    女子高生「ひ、ひ……ひぃっ!(汚い!)」
       と、逃げ去っていく。
       龍馬、女子高生が残していったスマホを片手に、
    龍馬「そんなに臭うかのう(と袖口を嗅ぐ)」

    ○京都府・美術館
       展示室のガラスが割れている。
       室内に鳴り響く警報ブザー。
       織田信長(47)とその家来たち、宝物を抱えて出てくる。
       信長は西洋甲冑に、ビロードのマントを付けている。腰には愛刀、義元左文字が差してある。
       そこへ男性警官ABが飛んできて、
    警官A「お前たち、手を挙げろ!」
    信長「ん? 貴様、この私と一戦交えようと言うのか?いいだろう」
       と、刀を引き抜く。
    警官A、空に向かって威嚇射撃。
    警官A「次は本当に当てるぞ!」
    信長「ほう、そんな小さな火縄銃があるとは。だが貴様分かっておるのか? 火縄銃は一発撃てば、それで終わりよ!」
       と、斬りかかる。
       警官A、信長に向かって発砲。
       信長、撃たれ、その場に膝をつく。撃たれた腹部を見るが、血は出ていない。それどころか、見る見るうちに傷口が塞がっていく。
    信長「この体、もはやこの世のものではないか……はははっは! 面白い! なぁ、そうだろ?」
       警官A、怯えて腰を抜かし、後ずさっていく。
       空中に、ドカン、ドカンと号砲の音が響く。

    ○神円小学校・六年二組
       授業中。男性教諭、教科書を読み上げ、
    教諭「で、源義経は見事、平家を滅ぼしたのだが……」
       ルリ、ふとカクを見やる。
       カク、机で下を向き、俯いて見える。
       ×   ×   ×
       インサート。
       教室での姿が、病室で項垂れていたカクの姿に、重なって見える。
       ×   ×   ×
       ルリ、ハッとなる。
    教諭「兄の頼朝に嫌われ、追われる身になった。そして」
       だが、よく見ると、カクはただ眠っているだけだ。
       ルリ、呆れて溜息。もう一度、カクを見る。
       カクの寝顔から、静かに涙が流れる。
    教諭「その後、胴体は岩手の判官森に、首は鎌倉の……」
       ルリ、黙ってカクを見つめている。

    ○東京都・渋谷駅前
       義経、買ったばかりのギター、テレキャスを肩から提げて、
    義経「これで、私もロックを!」
       と、ピックを持ち、弾こうとする。
       そこへ男性店主が走って来て、
    店主「お客さん、これじゃ困るよ!」
       と、その手には宋銭。
    店主「金持ってないなら、返してくれ!」
       と、義経からテレキャスを奪おうとする。
    義経「待たれよ。急に申されても……」
       その刹那、店主は何者かに掴み上げられ、投げ飛ばされる。
    店主「(怯えて)ひ、ひいぃぃ!」
    義経「(振り返って)お、お主らは?!」
    声「六道の道の衢(ちまた)に君待ちて 弥陀の浄土へすぐに参らん……お忘れですか?」

    ○京都府・ハンバーガーショップ内
       龍馬、ハンバーガー片手に、スマホを見る。
       スマホには、スカイツリーや国会議事堂、自衛隊、映画の広告など、様々なニュースが映る。
    龍馬「日本はこがーに、大そうな国になったがか」
       スマホに映る、歴史のページ。
       『坂本龍馬(1836-1867)享年三十一年』の文字。
       龍馬、その記事を見つめ、
    龍馬「……命を張った甲斐は、あったかえ」

    ○同・警察庁前(夕)
       信長とその家来たち、やって来る。
       出入りする警官たちの腰には、警棒や拳銃。
    信長「(ニヤリと笑い)また、楽しめそうじゃ」

    ○神円小学校・校門(夕)
    カクの声「先帰るぞ〜」
    男子生徒の声「おう! また明日な!」
       カク、ランドセルを背負いやって来る。小さく鼻歌を歌っている。
       校門で待っていたルリ。カクに気づき、
    ルリ「……カク」
    カク「ルリ……いやぁさっきは、俺がわるかっ」
    ルリ「ごめんね」
    カク「おい、何だよ。ヤブから棒に」
    ルリ「ごめんね。何も言えなくて」
    カク「……」
       ×   ×   ×
       インサート。ルリの回想・病院。
       病室で一人項垂れるカク。
       それを扉の前で黙って見ている、ルリ。
       ×   ×   ×
    ルリ「あの時、何か言わなくちゃって思った。何かしなくちゃって。でも、私はお父さんもお母さんも元気だし、誰かを失ったことなんか一度もない。そんな私に何を言えるんだろうって、何ができるんだろうって……考えたら、私、ただ黙ってカクを見ているしかなかった。だから最低だったのは、私の方なんだ」
       カクの顔は夕日で見えない。
    ルリ「笑っちゃうよね。こんなこと今更言っても、何にもならないのに……ほんと笑える……ねぇ、笑ってよ。カク」
    カク「……ありがとうな」
    ルリ「え?」
    カク「ありがとう。何にも言わないでくれて」
    ルリ「(唖然として)……」
    カク「ほら、お前にしんみりしたこと言われてもピンと来ないって言うか、逆にへこむって言うか、」
    ルリ「(唖然が笑いに変わり)なにそれ。もう真面目に聞いてたの〜? こっちは真剣なのに〜!」
    カク「いや、悪い、悪い。でも……」
       と、にっと微笑み、
    カク「もう、大丈夫だからさ」
       と、走り出していく。
    カク「また月曜日、学校でな!」
       カクの背中は遠くなっていく。
    ルリ「(呆れたように)ほんと……笑っちゃう」

    ○東京都・渋谷駅前(夜)
    義経「またこうして会いまみえることができ、私は本当に幸せ者だ」
       義経の前には、かつての臣下。武蔵坊弁慶(35)、片岡常春(35)、伊勢三郎義盛(35)。
    常春「義経殿の姿を見た時は、己が目を疑いました」

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