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シリーズ:愛を求める女
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愛を求める女

作者:かにゃんまみ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    安彦は仲間と釣りをして変わった魚を釣りあげる。その帰りに妙に色気のある女に遭遇した。雨の中彼女は安彦を見て顔を赤らめる。不思議な女と奥手な男の奇妙な物語。


    登録ユーザー星:6 だれでも星:2 閲覧数:273

    愛を求める女 7982文字

     


     花火大会は小雨でも予定通りおこなわれた。二人は祭りの雑踏を抜け、見晴らしのいい場所に腰を下ろす。遠くに工場の煙突が見える。白艶は安彦の肩に頭を預けうっとりと夜空を見上げた。ドンと大きな音がして花火があがる。
     大輪の華を咲かせる花火を二人で見上げていたら、このまま時が止まればいいのにと安彦は思った。
     腕にそっと触れてくる白艶が安彦には愛おしく、白艶も自分の身を案じてくれた安彦に心を許していた。
     自然と二人は惹かれあいそっと唇を重ねた。抱き寄せた白艶の体は、ふっくらしっとりとしていた。

    「あれは、安彦じゃない?」

     綾が安彦と白艶が一緒にいるのを目撃し驚いた。隣にいる孝行が目を瞠る。なんだあいつ。いつの間に女なんかと。しかもかなりの上玉じゃないか。孝行が白艶に見とれているのに気づき、綾は孝行を睨んだ。
     あいつ生意気だ。孝行は苛立った。
     
     夏休みが終わり、大学に行くころすでに安彦と白艶は恋人同士であることが周囲に知れ渡っていた。
     安彦は同級生たちに茶化され少し照れたが、特に何も語らなかった。二人はまだ体の関係はない。
     安彦は恐ろしく奥手だ。それに名前も知らない彼女には帰るべき家がある。自分に名前を教え、本当に心を許してくれてから仲を進めても遅くはない。
     
     その日、大学に手作りのお弁当を持って白艶がやってきた。健気な白艶に思わず顔をほころばせる安彦だったが、外野が紹介しろとうるさい。仕方なく彼女のことを紹介した。仲間の中で哲也も笑顔を見せたが、幸せそうな安彦を心の中では歓迎しなかった。目立たず、温厚な安彦をずっと下に見ていたからだ。そんな奴がこんな美人と同凄しているなんて納得できない。

     大学のベンチで安彦の授業が終わるのを待つ白艶の元に哲也が近づいた。
    「安彦の居場所なら俺知っているよ」
     哲也は白艶に「こっちだよ」といいつつ夕方のサークルの部室へ誘いこんだ。もうすでにみな帰っていてあたりには誰もいない。部室に入り安彦の居場所を探す白艶に哲也はほくそ笑む。

    「なぁ、きみはやつとどこまでいった?」
     唐突な質問にうろたえながらも首を横にふる白艶に、哲也は笑顔が歪んだ。そうか臆病な安彦のやつまだこの女をモノにしてないんだな。俺ならすぐにでも。

    「それは健全なお付き合いとは言えないね。俺となら、どうだ」

     部室に差し込む光が何かを察知し震える白艶の体を照らすと、哲也は何かにとり憑かれたように我慢できなくなった。哲也は力に任せて白艶を押し倒す。
    「ここまできていまさらなんだ。大人しくしないと痛い目にあうぞ」
     最初は抵抗していた白艶だったが、哲也の強引な手からは逃れられないことを悟る。二人の影が部室の白い壁に映り、そして一つになった。

     それから三日ほど経ち哲也が学校にきていないことを安彦は知る。体調が悪いせいだろうとみなさほど気にしなかった。

     その晩の白艶の夕食も美味しかった。ホタテの刺身にもずく、あじの塩焼き、貝の味噌汁に海草サラダ。安彦は舌鼓を打つ。相変わらず二人の仲は進展しないが、穏やかな日々が続いていた。白艶を大切に思っているからこそ、安彦はたやすく手を出したくなかった。安彦の思いに気づいているのか、白艶は時折嬉しさと悲しさが混在したような表情をみせる。

     安彦はその夜寝ている白艶の傍にそっと近づいた。掛けてある布団がずれ、体の線が見えると思わず息を呑む。しかし安心しきっている白艶の寝顔を見てぐっと堪え、そのまま布団を上に掛けてやった。そして静かに立ち上がると隣の部屋に消えた。
     その様子を感じていた白艶は目を開けると、布団をぎゅっとつかみ瞳を潤ませた。

     深夜。白艶は目を覚ました。そして夢遊病者のように裸足でふらりと外へ出て行く。商店街は全てシャッターが下り、薬局の前にあるカエル人形の首が風にカタカタ揺れていた。まるで白艶の後を追うように雨が降ってくる。駐車場に差し掛かると暴走族がたむろしていた。無表情な白艶は彼らの方に向く。男たちはふらりと生気のない顔で白艶を取り囲み、駐車場の奥へ連れ込むと彼女の服を脱がしていく。裸にされた白艶の肌は白く発光し、次第にぬめると膨張してくる。口も大きく膨らみニッカリと笑うとそこには鋭い歯列が見えた。男たちは声も出さずその光に包まれた。

     今朝は珍しく白艶は寝ていた。まぁこんな日もあるさと大学に向かう途中、例の暴走族がいた駐車場にさしかかる。安彦は花火の日を思い出し嫌な気持になった。しかし業者らしき者たちがトラックの荷台にバイクを回収している。疑問に思った安彦はその場にいる管理人に聞くと、どうやらバイクがここに置き去りにされ困っていたようだ。引き取りにくる気配もなく仕方なく撤去しているらしい。

     一週間後。夕方、白艶が台所で夕飯を作っている。安彦はラジオから流れる流行歌に耳を傾けながら図書室で借りた図鑑を眺めていた。ラジオからニュースが流れ、最近横浜市鶴見区界隈で若い男数人が行方不明になっているとの情報が流れた。そういえば哲也もあれきり学校にきていない。もうかれこれ十日近く経つ。

    「安彦、一日バイトやらないか。俺は用事で行けなくてさ」
     次の日孝行からアルバイトの誘いがあった。恋人の綾とやるはずだったらしい。安彦にとってはありがたい誘いだった。白艶との二人の生活は楽しいが生活費は一人の時より増えている。収入は多いほうがいい。仕事は単純作業でクリスマス人形にひたすら色を塗っていくというものだった。そこには綾もいた。

     安彦がバイトに行った日、戸を叩く音に白艶は早い帰りだと喜び勇んでドアをあける。しかしそこには孝行が笑顔で立っていた。白艶は驚くが孝行は強引に部屋に入ってきた。

    「俺、前に見てしまったんだ。きみが哲也と部室に入るところを。安彦がこれを聞いたらどう思うかな?」

     白艶は哲也に壁に追い詰められると思わず転んでしまう。ワンピースから下肢が丸出しになった。孝行は誘われている気がしてたまらない。白艶の体が白く発光しているように見えた。艶かしい姿を見ていると孝行の意識は麻痺しふらふらと吸い寄せられていく。
     それと同時に白艶の目が見開かれ、体は膨張し巨大化した。そしてあっという間に孝行をその体が飲み込んだ。

    「え、孝行と連絡が取れない?」

     翌日、綾が安彦に孝行の行方を聞いてきた。

    「また浮気かも……」
     綾はため息混じりに悲しげな声を漏らした。孝行は無類の女好きで有名だ。だからまた遊び心で他の女のところへ行ったのだろうと綾は思っているようだ。
     
    「ごめん。僕は何も知らない」
     安彦の言葉に綾は肩を落とし、背中を向け歩き出した。綾の後姿に孝行は酷い男だと安彦は思う。僕ならば白艶に絶対辛い思いはさせない。

     安彦は気を取り直し、大学内にある図書室に行った。この間からずっと調べ物をしていたのだ。静まり返る図書室で時は流れた。ふと扉が開く音がし、その方を見ると目が落ち窪んだ綾が入ってきた。
    「孝行、いなくなる前に白艶と会っていたのは本当?」
    「え?」
    「さっき孝行の友達に聞いたの。バイトの日に孝行が安彦の女に会うって自慢していたって。白艶、その前にも哲也と二人きりで校舎の傍を歩いていたって」

    「そんな、まさか……」
     信じられない。
     安彦は高ぶる気持を抑え彼女に真相を聞こうと急いで家に帰る。迎えてくれた白艶を安彦は問い詰めた。孝行との関係を聞かれ、白艶はいつものように首を横に振るかと思ったが、彼女は顔を真っ青にしてしまう。

    「まさか、お前、哲也とも……?」
     その質問にも彼女は増々顔色を悪くするだけで、否定したしぐさをしてくれなかった。
    「嘘だろう」
     あんなに無邪気で健気だった白艶の優しい顔がいまは歪んで見える。白艶は安彦の腕に許しを請うようにすがった。腕から伝わる白艶の温もりを信じたかった。けれど。

    「もう僕はお前がわからない!」
     動揺し混乱する安彦に白艶は唇をかみ締めるとそのまま安彦を見つめた。そんな淋しそうな顔をしてもう騙されるもんか。
     安彦は腕につかまっている白艶を突き飛ばした。思わずしりもちをついた白艶はまるで熟れた果実のような胸を揺らし、男を誘うような短いスカートから色香漂うふとももをさらした。憤りで体を震わせた安彦は睨むと白艶を押し倒した。

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    コメント

    • 今回も惨敗に終わりましたが(笑)みなさんのご意見を聞いて本当に参考になりました。今回はオチありきの話だったのでそこまで話を展開させるのに精一杯でまだまだ本当に伝えたい事が書ききれてまたは表現しきれてませんでした。でもこれを書く事によって少しだけどうして行けばいいのかというか何が一番大事なのかというのを改めて考えるきっかけになったと思います。
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    • ども、ホラコンの難しさは、すでに身構えている相手を怖がらせなければならないところにあると思っているHiroです。
      なので、敵を油断させることにコツのようなものがあるのでは…などと妄想しています。

      それはともかく、拝読させていただきましたので、拙いながらも感想らしきものを残させていただこうと思います。
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    • ネタはいいのに、それを小説としてきっちり活かしきれていないのが非常に残念に思います。
      いや、じっくり読み込んで場面を想像すれば怖いんですが、初読から白艶の正体と目的が恩返し的なものであろうと察せられるので、いやでも彼女が最後に何をして終わるのかに興味が集まります。で、その結果を明かすだけの物語に8000は長かったかなと。

      話を要約すると、
       魚を助けた主人公は、魚から恩返し的な行為を受けるものの、魚が事故から本能をとりもどし、最後には化け物としての姿を主人公に晒して消えていってしまう。
      みたいな感じでよいでしょうか?
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    •  これだけ読むとちゃんとクトゥルフっぽいホラーとして成立してるのですが、登場人物たちが風景の一部と化しているような薄さ(悪く言えば無個性)で、物語に没頭させ難くなっているように思えました。

       特に初読では前半の白艶のイメージがつかみづらく、彼女がなんの目的をもって主人公の元へやってきたのか不明でした。
       つう(鶴の恩返し)的に恩返しをしたかったのでしょうか? あるいはシレネッタ(人魚姫)的に憧れの人と再会を願った?
      • 3 fav

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    •  再読時には気にならなかったのですが、人物像をつかめないまま物語が流れていくと話が他人事となってしまうため、「この子はこういう子なんだよ~」というイメージを読者にしっかり植え付けたほうがいいかなと思います。
      (しゃべれず、料理上手で美人という『設定表示』だけでは薄いので、なるべく行動描写にしたほうがよいのではないかと)
       主人公についても同様です。
       あと大学生設定はなるべく早い段階で出したほうがよかったかも。
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    • >構成
      前ふり:魚釣り(出会い)
      起:白艶との再会?
      承:白艶との幸せな暮らし
      転:襲われ覚醒(?)する白艶
      結:別れとその後

      物語の構成は巧く作られているものの、ホラー展開に入る前のラブラブ感が伝わってこないためか、それまで幸せに暮らしていた白艶が化物と化しても、主人公と別れてもあまり感情に訴えてくるものはありませんでした。
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    • >総評
      人物描写の掘り下げができれば、評価はもっとあがるのではないかと感じました。
      御作の売りは背景的なホラーっぽさでなく、登場人物(白艶とそれに影響される人たち)にあるのですから背景描写を削り、人物描写を増やせば物語の売り所(ラストシーン)が映えると思います。


      長々と失礼しました。
      好き勝手に戯言を吐いておいて申し訳ありませんが、この通りに作品を修正しても大衆ウケする保障はないのでご了承ください(爆
      ではこのあたりで…ノシ
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    • うわぁあああああ(TT)凄く的確なご意見ありがとうございました。凄く勉強になりました!!どうにもネタはいつも良いと友達にも褒めてもらえるのにその先の文章にとりかかると強さみたいなのが鈍る傾向にあるようです。要するに小説という形になると要点がわからなくなる@@;敵を油断させるコツですかー。まだまだですねぇ@@;本当に参考になりましたのでノートに記させていただきます。今後の糧にできたらと思います。ありがとうございます(TT)
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    • ネタばれにならないようなるべく気を付けつつ……、印象的だったシーンは、ヒロインの○○と○○と目が合うところでした!!ビックリハッソウ こちらこそ夢に出てきたらどうしようかってかんじです( ゚Д゚)ゾゾゾ  
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    • ありがとうございます。いつもみなさんのように深みをもたせて書きたいところですが、なかなかどうして小説は奥が深くて毎回四苦八苦しながら書いています。一つでも印象深いシーンを鹿さんに残すことができてホッとしております。
      • 2 fav

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    • 想像したらほんと怖いです……( ゚Д゚)
      それにしても、主人公以外の男どもがゲスすぎる(;O;)
      そういうところも、どことなく昭和っぽい感じがします。
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    • ミオナさんありがとうございます(TT)昭和っぽい1ゲットいたしましたぁあああ!主人公以外ほんとに煩悩のみのゲスですね。ちょっぴり白艶の嘆きが聞こえてきます。
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    • 参加者のみなさん、細かな修正が多く年中修正してそのせいであがってしまっています;すみません。御迷惑おかけしております。修正してもあがらない機能が欲しいです(TT)
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    • ぜひ教えてください~。
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    • ヒロインがまさかのあの魚でびっくりしました。たしかにあの魚を擬人化したら怖いことになるかもしれません。本作に流れる物悲しい雰囲気がなんとも言えず味わい深かったです。
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    • ナマケモノさん、コメントありがとうございますv長いこと温めていた作品だったので話の設定が二転三転としていました。友達にもガンガン言われながらなんとか形になりました。魚の生態は不思議なものですよねぇ@@;
      • 1 fav

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    • お久しぶりです(^O^)/
      どういうお話なのだろうと進めていくうちに思いっきり引き込まれてしまいました。
      切ないですね。主人公はどっちが良かったのだろうと思い、余韻が残りました。
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    • お久しぶりです。(^^* 今回は参戦無理かなぁと思っていたのですが、ギリギリまでかかってやっと一作できました。余韻が残るようにがんばったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。
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    作者紹介

    • かにゃんまみ
    • 作品投稿数:37  累計獲得星数:309
    • 初めまして。2014年の3月末位から初めてここに投稿させていただきました。

      ツイッターかにゃんまみで登録しました。BL小説書きの方とフォローしたいです。よろしくお願いいたします。

      長い間BLの小説を趣味で書いています。
      絵を描くのも好きですが、小説を書くのも大好きです!
      職業はゲームのドットやアイコン背景画のデザイナー?(^^;しがない絵描きです)
      フロンティアワークスさんのゲーム。三千界のアバターのシナリオのお仕事もさせていただいています。

      BLサイトはhttp://bluemoonlight.sakura.ne.jp/です。
      不束者ですがよろしくお願いいたします。

      最近好きな物。あいうえお順。種類雑種;



      アガサクリスティー
      阿部寛
      イトケン
      エルキュールポアロ
      小山慶一郎
      堺雅人
      指原莉乃
      志倉千代丸
      鈴村健一
      筒井康隆
      仲間由紀恵
      羽生結弦
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      ポルノグラフティ
      (他にも色々あるけど……)
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      帰還~moonlight~:http://bluemoonlight.sakura.ne.jp/

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