upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
シリーズ:ねこのめライアー(前編)
閲覧数の合計:545

作品を編集する

  • シリーズタイトル・ジャンルの修正
  • この章を改訂する
  • この章を削除する
  • シリーズに作品を追加する
  • 表紙画像の変更

ねこのめライアー(前編)

作者:シズオリ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    むしゃくしゃして書いた、ホモなら何でもよかった、今は反省している。
    一応BL小説です。苦手な人は画面を閉じて!
    これの表紙イラストを可愛い絵が描ける友達に頼んだんですが「無理」とざっくり断られました。わーふられたー


    登録ユーザー星:3 だれでも星:5 閲覧数:545

    ねこのめライアー(前編) 7689文字

     

    「あれ?お前もしかして羽柴だよね?」
    ようやく新生活にも慣れた5月の終わり、羽柴恵太郎はバイト先である本屋のバックヤードでエプロンをつけていると、後ろから声をかけられた。
    「やっぱ羽柴だ、おひさしゅうー」
    同じエプロンをつけた若い男が、在庫の向こうからヒラヒラと手を降っていた。見た目の雰囲気は少しかわっていたが、その声と顔にはものすごく覚えがあった。
    「成瀬……」
    音信不通だった高校時代の先輩と、一年と二ヶ月ぶりに再会した。
     


    だいたい三年前、たぶん九月。
    剣道部の部室のなかで、俺は足止めをくらう羽目になっていた。
    「私と付き合って欲しいの、ダメかな」
    (うわあ、古典的)
    剣道部の部室のすぐ近くで、誰かが誰かに告白しているという青春劇が繰り広げられていた。俺が着替えを終えて部室から出ようとした矢先、ドアのすぐ向こう側で切々と訴える女の子の声が漏れ聞こえてきて思わず足を止めてしまい、出るに出られなくなって部室のドアの前に座りこみ、様子を見はじめてもう10分。
    なぜか告白をされている相手がずっと沈黙しっぱなしで、状況がさっぱり進展していなかった。
    「返事はすぐじゃなくてもいいんだけど……」
    俺的には、返事うんぬんはどうでもいいので早めに切り上げてもらいたい。じゃないと部室からいつまでたっても出られない。英語の追試のせいでただでさえ遅刻なのに、道着にファブリーズかけてる場合じゃなかった。
    女の子の方もしびれを切らしたらしい。
    「あのっ、今無理ならまた聞きに来るから!」
    考えておいてね!! そう言い残すと、女の子は帰ったのだろう、一人分の足音が慌てたように遠ざかっていくのが聞こえた。無言の空気に耐えかねたんだろうな。
    やれやれこれで部活に行けると俺は立ち上がった。野郎一人なら気を使う必要もあるまい。邪魔しなかった手間賃代わりに、告白されたやつの顔くらい拝んでおくかと思い、俺は部室のドアからそぉっと顔を覗かせる。
    そこには虚空を見つめてポツンと棒立ちしている男がいた。学校規定のセーターを着ている。男にしては髪が長い。こちらに背中を向けているので俺の存在には気がついていない様だ。
    すると男はふらりと動きだした。ふらついていて足取りが危うい。あ、自分の足にけっつまづいた。
    バランスを取りきれず、足をもつれさせながら前のめりに倒れ、すぐ近くの掃除用具いれに頭から衝突した。けたたましい音をたて、衝撃で開いた用具入れから埃っぽい箒がバラバラ飛び出す。ぶつかった男はぺしゃっと潰れるように床へ崩れ落ち、トドメとばかりに脳天にポリバケツが落ちた。軽い音が悲しいくらいよく響く。
    「おい、お前何してんの!?」
    憐れすぎる惨状に見ていられなくなり俺は思わず側へ駆け寄った。
    告白相手の男は、痛みに耐えかねてぐおおおと唸りながら頭を押さえ込み、床でのたうっている。
    「み…見たな、人生のなかで割りと恥ずかしい部類のヒトコマを…うぐっ」
    床に転がったままギッとこちらをにらんできた。形の良い二重の目が涙目になっていた。
    「人がいないか確認しない方が悪い。それよりお前頭大丈夫かよ、結構派手にぶつけただろ」
    ぶつかった用具入れを見ると側面が明らかにへこんでいる。
    「俺の心配してくれるのか、優しいな剣道部員」
    床をごろごろ転げていた男はあっさり起き上がる。頭についたほこりを払ってやった。もうここまで来たら部活の遅刻は気にしないことにする。こいつ、さっきまでずっと沈黙を守っていたのはなぜなんだろう。見る限り、雰囲気も軽いし愛想もよさそうなやつだ、確かにこうゆう奴はもてるかもしれん。
    「その優しさでついでにさっきの女の子に付き合えませんごめんなさいしてきてくれるか」
    「お前頭大丈夫か」
    「確実にたんこぶができたな」
    「いやそっちの大丈夫じゃねえ!ぶつけたショックで色々飛んでんのか?偶然居合わせた他人に告白の返事頼むなよ!」
    目の前の男は露骨に眉をしかめた。ムリー、絶対ムリーと首を振っている。
    「俺、女の子がとっても苦手なの。周りに誰かがいるときに話をするのは平気なんだけど、面と向かって会話すんのは絶対できない」
    「そんなにシャイなやつは今時派流行らねぇぞ」
    「言い方だせぇ!違う違う!女の子と二人っきりになると、嫌な汗かきまくって、ざーって体から血が引けてく感じで……アレルギー的な? 今頭ぶつけたのも、女の子と顔つき合わせて告白って空間に耐えかねて前後不覚だったの!」
    「対人恐怖症は、年齢とともにある程度軽減するらしいな」
    「ちげーし!! そうゆうんじゃないんだって、女の子限定なの! 男には毅然とした態度をとるよ!!」
    「コミュニケーション障害は最近じゃ珍しくな「お前しつっっっこいな!」
    おちょくりすぎて怒ったのか、目の前の男は、掃除用具入れにぶつかったときに散らばった自在箒を拾い上げ、俺に向かって打ち込んできた。余裕ぶって白羽どりをしてみようと手を出したが、普通に失敗して顔面に入る、とても痛い。こんなやつに面打ち食らうなんて割と不覚。
    俺が額を抑えて痛みに唸っていると、告白された男は急にしおらしくなり、持っていた箒を放り出して覗き込むように俺の顔色をうかがっている。丸くて、でも目元がスッと通った瞳が、額を抑える手の隙間から見えた。本当に何でこんなことをしているんだろう。部活で竹刀を振っているはずの時間に、名前も知らない奴と向かい合って廊下に座り込んでいる。着ている道着越しに、床が冷たいのを感じた。
    「なあ、本気でお願いします。俺の代わりに断りにいってください」
    本当に女の子無理なの、どーにかしてくれよ、と訴える声には、さっきまでの賑やかさが消えていた。ちょっとノリが軽いが悪い奴ではないし、必死さのにじむ表情に、行ってやってもいいかなーと、少し心が揺れてしまう。しかし人の恋路に首を突っ込み、いらぬ世話を焼くなど、やはり嫌なものは嫌なのでざっくり断ろうと口を開くと、察しがいいのか素早い動きで口を塞がれた。
    「そーだ、明確な理由がないとお断りし辛いな!」
    しぼんでいた空気が一気に綿毛よりも軽くなった。ころころとテンションが変わっていそがしい。
    告白され男は「じゃあこうしよう」と言いながら、妙に思わせ振りな仕草でにじり寄ると、右手の食指でトンと俺の肩をついた。
    「羽柴くん、俺さ、君に一目惚れした」
    そういって、形のいい目がくにゃっと笑う。
    「羽柴くんに出会ってからというもの、俺は男の人の魅力に憑りつかれました。端的にいうとホモです。だから女の子は無理です。もし機会があったら来世で結ばれましょう……そんな感じで断ってくれる?」
    頭を強打したときに二三本ネジを飛ばしているんだな、可哀そうに。という思いのこもった視線を送ってやったが、全く意に介しておらず、機嫌よく話し続けている。
    「でも、そのまま伝えるとアレだから、ある程度真綿とオブラートで梱包した表現に改編しておいてくれ、やってくれたら御礼するし!」
    そう言いながらぺしぺし肩を叩かれた。ついでに俺の口を塞いでいた手が外された。たしかにとりつく島もないお断りだが、それはそれで、今後の生活に響きそうな他の問題があるだろう。
    「……お前何で俺の名前知ってんの」
    でも俺はそこにつっこんでやらなかった。あからさますぎるので指摘したら負けかなとか考えていた。
    「そこの防具に羽柴ってかいてあるよ」
     垂に白抜きで書かれた「羽柴」の二文字が、その日はやけに立派に見えた。

    後日、俺は本当にお断りの代理にいかされた。理由は「他に好きな人がいるから、君のことは考えられないんダヨ」というありがちすぎる内容に変更し、本人は罪悪感から顔を会わせられませんとその場ででっち上げた。
    相手の女の子は主人観衆の中で空気も読まずに泣いたし、周りは騒ぐし、嫌な思い出すぎて脳ミソが積極的に忘却しようとしたのか、その後どうやってあの場をおさめたのかよく覚えていない。気がつくと俺は教室にいて、友達数名がその所業をネタに爆笑していた。
    その日の放課後、代理させた本人がメロンパンをもってちゃんとねぎらいに来た。名前は成瀬縁、実は俺よりも一年先輩だったことを、その時になって初めて知った。



    ←前のページ 現在 1/3 ページ 次のページ→

    1ページ目に戻る
    ▤ 目次ページに戻る


    お気に入りリストに追加 この作品を応援する

    応援ボタンを押す事で作品の★が増え、作者に「イイね!」を伝える事ができます。

    コメント

    • 赤点無双くん、あいまいにずるくて良いですね!続きが楽しみです♪
      • 3 fav
      • Re 返信

      を押す事で、投稿者に「イイね!」を伝える事ができます。


    • コメントどうもです!
      あいまいにずるいとはありがたい表現です
      続きまたみてやってくださいな!
      • 0 fav

      を押す事で、投稿者に「イイね!」を伝える事ができます。


    作者紹介

    この作者の人気作品

    小説 ボーイズラブの人気作品

    続きを見る