upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
シリーズ:ボーイフレンド(仮)版権小説「第二美術室の扉は今日も開かない」(無料版)
閲覧数の合計:355

作品を編集する

  • シリーズタイトル・ジャンルの修正
  • この章を改訂する
  • この章を削除する
  • シリーズに作品を追加する
  • 表紙画像の変更

ボーイフレンド(仮)版権小説「第二美術室の扉は今日も開かない」(無料版)

作者:西崎宮都

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    Amebaの無料ゲーム「ボーイフレンド(仮)」の登場人物で、3年生美術部の桑門碧(くわかどあおい)が、恋人である緑主人公(林田美羽)を久しぶりに旧校舎の第二美術室に呼び出した。作品に足りないものがあると言われ悩む碧は、美羽を椅子に座らせ、縄で拘束していく。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:355

    ボーイフレンド(仮)版権小説「第二美術室の扉は今日も開かない」(無料版) 8923文字

     

    【登場人物設定】
    *桑門碧(くわかどあおい):3年生、美術部。美術系の賞を頻繁にもらっている。専門は造形だが絵も得意。手先が器用だが、機械ものにはめっぽう弱い。一人称「俺」。いろいろ不思議な人、というのが周りの認識。雨に濡れるために傘は持たずに来たりする。片手で食べられるおにぎりが大好き。
    *林田美羽(はやしだみう):緑主人公その5。碧先輩とよく美術室に居る。友人曰く、かなり鈍いらしい。少しふっくらめのもち肌。胸は大きめ。桑門と恋仲。桑門にモデルを頼まれるのが日常になってきた。食べるの大好き。
    *廣瀬櫂(ひろせかい):桑門と同じ美術部員。林田美羽と同学年。
    *友人:林田美羽のクラスメイトで、一緒に昼食を食べる仲。
    *若桜郁人(わかさいくと):保険の先生。保健室でいろいろな生徒の心と体の手助けをしている。


    【本編】
    1
     昼休みの教室に、桑門碧(くわかどあおい)がやってきた。
     三年生の碧が初めてこの二年の教室に来たときにはクラス中がざわめいたものだが、いつの間にか林田美羽(はやしだみう)を探しに碧が教室にやってくるのも、クラスメイトにとっては見慣れた風景になってしまったらしい。
     だが、未だに先輩が入り口のドアをくぐった瞬間には、まるでモーゼが大海の前で杖を突いたかのように、教室に道ができる。
     美術で様々な賞をとっては、全校集会で表彰されている桑門碧。
     この学園には優秀な生徒が多く、全校集会での表彰は決して珍しいわけではないが、碧の存在はさすがに際立っている。その碧がしばしば美羽を訪ねてくるわけだから、騒ぎにならないはずもない。
     一緒に弁当を食べていた美羽の友人もさすがに慣れてきたようで、クラスが静かになった瞬間、ちらっと教室の扉に目をやって碧の姿を確認した後、碧が入りやすいよう、少し椅子を動かした。クラスで一番最後まで碧の来襲に気が付かないのはきっと美羽だろうと思いつつ、彼女はおにぎりにかぶりついている美羽を眺める。
    「美羽ちゃん、ちょっといいかな?」
     クラスが静かになったことにも、クラスほぼ全員、および目の前の友人の視線が突き刺さっていることにも気が付かずおにぎりを頬張っていた美羽だったが、さすがに目の前に先輩が来て呼びかけられると、さすがに気が付き、のんびりと顔をあげた。
    「あ、こんにちは、碧先輩」
    「おにぎり、おいしそうだね」
    「食べます? 今日はシャケですよ」
    「ん、いいのかな? 一ついただこうかな」
     いつの間にか近くに差し出されていた椅子に座り、美羽の大きめのお弁当箱から、これまた大きめのおにぎりを碧がつまみ上げる。一口かぶりつくころには、クラスにはまたいつもの喧騒が戻っていた。
    「美羽ちゃんの作るおにぎりが、やっぱり一番おいしいね」
    「ありがとうございます。先輩がそう言ってくれるから作り甲斐がありますよ」
    「ふふ、美羽ちゃんの食べる姿を見つつ食べるからさらにおいしく感じるのかな。本当に君っておいしそうに食べるよね」
    「そうですか? そんなにおいしそうですか?」
     碧以上に、美羽と席を囲んでいた友人が大きく頷く。美羽が食べると何を食べてもおいしそうに見えるのが不思議だ。
    「ところで、美羽ちゃん。今日は放課後、美術室に来てもらっていいかな?」
    「あ、久しぶりですね。いいのですか?」
     美術室に来るように碧が美羽に告げるのは一週間ぶりだ。
     毎日のように美術室に通っていた美羽だったが、先週から放課後の美術室に碧は居なかった。
     美術部の廣瀬櫂(ひろせかい)に尋ねたところ、碧は第二美術室に籠っているとのことだったが、普段使われていない第二美術室は静まりかえり、扉も開かなかった。
    「うん。美羽ちゃんに是非手伝ってほしいことができたんだ」
    「わかりました! 私でできることならぜひお手伝いさせていただきます!」
    「よかった。安心したよ。……美羽ちゃんが居ないと俺はだめみたいだから。第二美術室に来てくれるかな?」
     碧が教室を去る姿を見つつ、何か少しいつもと碧の調子が違うことに気が付いたのは友人だけだった。碧先輩が美羽だけに頼みたいことが今一つ想像できないが。
    「美羽、あんた幸せそうだよね」
    「ん? から揚げもおいしいよ。食べる?」
    「いらないいらない。それより早く食べないと昼休み終わっちゃうよ」
    「うん。ありがとう」
     友人の心配をよそに、美羽は久しぶりに碧の役に立てるかもしれないことに心を躍らせつつ、少し形がいびつなから揚げを口に入れた。


    2
     放課後、第二美術室の扉を美羽はノックした。第二美術室は旧校舎の奥にあり、放課後の喧騒も届かず静まり返っている。旧校舎自体、廣瀬に聞いて初めて足を踏み入れたのだ。空気は少し埃っぽく、歩くたびに木製の古びた床がキーキーと音を立てた。
     今日も第二美術室のドアにある小さな窓から光が漏れていない。ノックの返事もない。
     ただ、今日は碧との約束がある。美羽はとりあえず扉に手をかけた。
     一週間開かなかった扉が開き、埃っぽさと油絵のかおりが混じった独特の空気が廊下まで漏れてくる。
    「碧……先輩?」
     暗幕の間から少し光が差し込んでいるが、美術室の中が見通せないほど暗い。その中で、大きな、そして真っ白なままのキャンバスの前に立つ、深緑の作業服をまとった碧の姿だけが、弱いスポットライトがそこだけ当たっているかのように薄ぼんやりと光っていた。
     キャンバスに向かって鉛筆を動かしている碧には声をかけづらいが、こうしてただ背を向けて立たれていると、それ以上にためらわれた。
     先輩の描く絵は美しいが、こうして白いキャンバスの前に立つ先輩も、まるで一枚の絵が飾られているようにも思える。
     あまり美術は得意ではないし、絵心もとてもあるとはいえない美羽だったが、彼が描く絵、彼が作り出すモノ、そして、彼を囲むとその風景までもが、これだけは自信を持って美しいと言えると思った。
     絵のような風景がゆっくりと動き、碧が振り返る。
    「あ……美羽ちゃん。来てたんだ」
    「先輩、大丈夫ですか? また何かに……」
     何かに囚われている。そうとしか言えないようなぼぉっとした瞳が美羽を捕らえる。
     最初に美羽が碧に出会った時にも、碧は雨に囚われていた。
     先輩の瞳に映る世界は美羽が見るものと違うが、先輩を包む世界までもが美羽の世界とは違っているのでは、と思うことがある。
    「うん。俺は、また何かに。……でも、俺には君が居るから、きっと大丈夫だよ」
     全然大丈夫なではなさそうな声が、静かな美術室に柔らかく響く。
     碧が何か答えを出すまで、美羽は何も言わずにただ待つのが習慣になっていた。もともとのんびりした美羽にとっては、そもそも待たされているという意識も少ない。
    「一つ。分からないことがあるんだ。ただ、君となら……分かるかもしれないって、ね」
     碧は静かに美術室を横断し、隅の机に置いてあったカバンに手をかける。
    「これ、着てもらってもいいかな?」
     鞄の中から碧が取り出して、広げて見せたものは、たくさんレースがあしらわれた真っ白なワンピース。
     碧の絵のモデルなら美羽も何度か務めたことがあった。服をこうして渡されたこともある。
    「今日は……下着をつけないほうがいいかな。汚れるかも……汚すかもしれないから」
     絵具でもかけられるのだろうか。
     美羽は服を受け取り、碧が指し示す美術準備室に向かった。古びた扉は耳障りな音を立ててゆっくりと開く。
    「なに、これ……」
     何か異様な風景に、美羽の足が止まる。普段なんとなく美術室の棚の上に鎮座しているだろう石膏像が、床に無造作に並べられている。
     いや、ただ、並べられているのではない。
     すべて、紐がかかっていた。いや、縄、か。これは。
     綱引きの綱のような少しごつごつした黄土色の。ただ太さはそれほど太くはない。
     それが、数体の石膏像を、様々な方法で縛っていた。
     ただぐるぐる巻きに首を縛られた男性の胸像。
     脇から首、頭にかけて器用に縄が回された女性の胸像。
     そして、どのように縄が回されているのか良く分からない縛られ方をした、全身像。これはミロのヴィーナスだったか。
     ――だれが、こんなことを――。
    「ん、美羽ちゃん、どうかしたのかな?」

    ←前のページ 現在 1/3 ページ 次のページ→

    1ページ目に戻る
    ▤ 目次ページに戻る


    お気に入りリストに追加 この作品を応援する

    応援ボタンを押す事で作品の★が増え、作者に「イイね!」を伝える事ができます。

    コメント

    作者紹介

    • 西崎宮都
    • 作品投稿数:13  累計獲得星数:28
    • 西崎宮都(にしざきみやと)。ボーイフレンド(仮)など版権小説中心に書いています。特に西園寺生徒会長(西園寺蓮)×赤主人公のR-18(官能小説)。読みたいシチュエーション、読みたいカップリングなどコメントで募集。

      ※有料版(R-18)は、upppi運用変更に伴い、BOOTHでサンプルの確認、お買い求め下さい。
    • 関連URL
      pixiv(未完結・ショート):http://www.pixiv.net/member.php?id=12368939
      BOOTH(R18有料販売):https://miyato.booth.pm/

    この作者の人気作品

    小説 同人・パロディの人気作品

    続きを見る