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シリーズ:妹神(をなりがみ)
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妹神(をなりがみ)

作者:不知詠人

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    東京近郊で起きる中三連続殺人事件。
    それはかつていじめで自殺に追い込まれた級友の亡霊の復讐なのか?

    そんな時、主人公の所に現れた生き別れの妹。

    彼女は沖縄の霊能力者「ユタ」。
    そして兄を霊力で守る「をなり神」。

    東京から長崎そして沖縄県久高島へと舞台を移しつつ展開する霊能力バトルの結末は?


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    妹神(をなりがみ) 90565文字

     

    第一章 南からの来訪者

     ある日突然俺に妹が出来てしまった。といっても、よくある親の再婚で、とかいうパターンじゃない。父親も母親も俺と同じの、本物の血を分けた実の妹だ。だけど、俺はその時まで自分に妹がいるという事実そのものを全然知らなかったんだから、話がややこしいんだよな。

     順を追って話そう。それは六月に入ったばかりの空気がジメっとした日の朝だった。そろそろ梅雨入りかな、ああ、やだ、やだと思いながら俺は何気なくテレビの朝のニュースを見ていた。
     テレビの画面ではアナウンサーが沈痛な表情で昨夜の東京都内での殺人事件を報じていた。被害者は中学三年生。場所はまた俺が小学校まで住んでいた地域だ。また、と言うのはこの四月からもう三人目だからだ。
     中学三年生の男の子ばかりが殺された、いわゆる連続殺人事件というやつだ。もっともそれだけなら東京じゃ珍しくはない。この大都会では毎日のように事件や事故で誰かが死んでいるし、一カ月弱に一人の割合で中三が死んだってだけなら、そりゃそういう事もあるだろう。
     問題はその死に方というか、殺され方だ。四月の一人目は胴体の中央がまるで絞った雑巾みたいにねじられた状態で見つかった。上半身と下半身が正反対の方向を向いていたというひどい有様で、死因は内蔵破裂。最初はダンプカーにでも轢かれたんじゃないかと思われたが、車の痕跡は何もなかったそうだ。
     二人目は先月の半ば、ビルから転落死した。それだけなら事故死の可能性もあったが、落ちていた地面の場所がそのビルから三百メートルも離れていたから普通の転落じゃない。その被害者の片方の靴が脱げてビルの屋上で見つかったそうだから、そこから転落したのは間違いないんだが、どうやったら三百メートルも離れた場所に落ちるなんて事ができる?仮に本人が自殺するつもりで思いっきり助走をつけて飛び降りたとしても、空を飛んだとしか思えない距離だ。誰かに投げ落とされたとしか考えられないという結論になったが、それにしたってどんな怪力の持ち主なんだ?その犯人は。
     そしてニュースで三人目の被害者の話が流れていたわけだ。この三人目は家の近くの公園の木の枝に串刺しになった状態で見つかった。そしてその枝というのが地上から八メートルの高さ!ニュースのアナウンサーが言うには、串刺しにされてからしばらくは生きてもがいていた形跡があったそうだ。
     殺人事件なんて珍しくはないこの大都会でも、さすがにこれは異常過ぎる。身の毛もよだつとはまさにこの事だ。だが、それ以上に俺にとって妙に引っかかったのは三件とも東京西部の、俺が小学校まで住んでいた地域の近くで起きている点だった。
     今俺は東京二十三区の東の端に近い所で母親と二人で暮らしている。この母ちゃん、一応大学の助教授。専門は宗教民俗学とか言ったっけ?なんかマニアックで俺には理解不能なムズイ学問らしい。
     親父はいない。父親も民俗学者だったが、俺が五歳の時に調査に行った先で崖から転落して死んでしまったんだそうだ。だからうちは世間で言う母子家庭ってやつ。まあ、母ちゃんの給料はそこそこいいから生活に不自由はしてないけどな。
     おっと、肝心な事を忘れてた。俺の名前は遠野雄二。母ちゃんは遠野美紀子。俺自身は学校の成績は中ぐらいのごく普通の中学三年生。もっかの悩みは彼女が出来ない事と受験。誰に似たのか、俺はあんまり頭良くないんだよな。
     俺がトーストをかじりながらテレビのニュースを見ていると、母ちゃんがコーヒーメーカーの容器を持ったまま、食い入るようにテレビの画面をのぞきこんできた。なんか、変に真剣な目つきをしている。
    「母さん、何をそんなに真剣な顔して見てんだよ?」
    「これ、例の事件の三件目よね?被害者の名前言ってた?」
     俺はちょっと考えて答えた。
    「いや……東京近郊の中学三年生としか言ってなかったと思うけど。未成年だから名前伏せてんだろ」
     母ちゃんは「そう」と言ったきり、黙り込んでしまった
    「なに、母さん、犯罪プロファイリングにでも転職すんの?俺としちゃそっちの方が世間受けがよくなって助かるんだけどな」
     母ちゃんは俺の頭をこぶしでこつんとたたいて言った。
    「ナマ言ってんじゃないの。それよりさっさとご飯食べなさい。片付かないでしょ」
     へいへい。俺は残りのトーストをコーヒーで流し込むと鞄をつかんで玄関に向かった。
    「じゃあ、お勤めに行ってめえりやーす」
     靴を履いている俺の背中に母ちゃんが声をかけた。
    「ああ、今夜はあたし帰りが遅くなると思うから。悪いけど夕飯はどっかその辺で済ましてくれる?」
    「了解。じゃあ、行って来まーす」

     で、放課後。俺が校門を出ると同じクラスの松田絹子に呼び止められた。
    「おーい、雄二。ちょっと来―い」
     こいつとは中学三年間同じクラスだが、はっきり言って女の子とか異性と意識しないで付き合える悪友だ。俺は絹子の方に歩きながらいつものように毒舌を吐いてやった。
    「ねえ、雄二くーん、来てくれなーい、とか、もっと女らしく言えんのか?おまえは。だからいつまで経っても彼氏できねえんだよ」
    「はん!彼女いない歴イコール人生の長さのあんたにだけは言われたくないわよ!」
     絹子が毒づき返す。俺たちの会話はいつもこんな調子だ。と、俺は絹子の横に見慣れない女の子がいる事に気付いた。夏服のセーラー服だが、この辺では見た事のない、妙にクラシックなデザインの制服だ。背中まで伸びた長いストレートの黒い髪。頭一つ俺より背が小さいし、雰囲気的に年下のチューボーだろ。
     異様なのは富士山でも登れるんじゃないかってぐらい馬鹿でかいリュックサックを背負っていた事だ。手にはメモ用紙一枚。絹子がそれをのぞきこんで俺の方に顔を向け直して言う。
    「ねえ、あんたのお母さんの下の名前何だっけ?」
    「え、美紀子だけど」
    「じゃあ、やっぱりあんたの家よ、この子が探してるのは」
    「へ?」
     俺はあらためてその小柄な見知らぬ女の子を見た。まだ幼い感じの残る顔立ちだが、これは「美少女」と言っていい。目が大きくぱっちりしていて、細身で、肌の色はこの季節にしては小麦色に焼けている。でも何となく垢抜けないというか、田舎者っぽい雰囲気全開な感じだが。
     ま、何にしろこんな可愛い女の子とお知り合いになれるのは文句なしに良いことだ。とはいえ、俺の家を探しているってどういう事だ?彼女のリュックにはこれまた時代錯誤的な大きさの名札がデカデカと縫い付けてある。それを見て俺は一瞬目を丸くした。
    「アマサキ?……どこかで聞いたような姓だな」
     その名札には「大西風美紅」と書いてある。絹子が目を丸くして言った。
    「大西風って書いてアマサキって読むの?」
     横の女の子がこっくりとうなずく。絹子が俺の顔をしげしげと眺めながら言った。
    「そんな難しい漢字の読み方、なんであんたに分かるの?なんか悪い物でも食べた?」
    「そう言えば、絹子、お前が家庭科で焼いたクッキー食った」
    「やかましい!ああ、ごめんね。下の名前はどう読むの?」
     絹子はその見知らぬ女の子に訊く。
    「ミク……アマサキ・ミク」
    「ふうん、ミクちゃんかあ。変わってるけど綺麗な名前だね。ああ、とにかく、こいつが、あなたが探している女の人の息子だよ」
    「そうですか……ご親切にありがとうございました」
     その正体不明の美少女は絹子に向かって深々と頭を下げた。絹子の方が恐縮してしまって「いえ、いいわよ、このぐらい」
     そしてその謎の美少女はつかつかと俺のそばに歩み寄ったかと思ったら、いきなりアスファルトの地面の上にちょこんと正座して、両手を地面について、今度は俺に向かって深々と頭を下げた。校門のまん前で初めて会った女の子に土下座されたんだから、俺があわてたのなんの。
    「お、おい、君……何を……」
     彼女は頭を上げ俺の目をじっと見つめながら言った。
    「あなたがあたしの『えけり』なんですね。ふつつか者ですが、これからよろしくお願いします」
     俺も絹子も彼女を立たせようとする事も忘れてその場で固まってしまった。何だ!いったい何だ?今のあいさつは?そもそも「えけり」って何だ。そんな言葉聞いたこともないぞ。

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