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シリーズ:カンビュセスの内定
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カンビュセスの内定

作者:不知詠人

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    BGMは「ウルトラQのテーマ」をお勧めします。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:1 閲覧数:568

    カンビュセスの内定 4206文字

     

     これが今の日本という国の仕組みだ。カンビュセスのくじ引きと同じじゃないか。十人中九人が生活保護で安楽に暮らすために一人が犠牲にならなきゃいけないなんて。そしてどうしてその一人が、よりによってこの俺なんだ!
     やがて大学の卒業式の日になった。俺たち内定者はそのまま収容所で卒業式を挙げ、例の護送車で近くの駅まで運ばれ、内定者専用列車に乗せられた。全ての窓の内側に鉄格子がずらりとはまっている特別列車だ。
     これから俺たちは日本各地にある経済特区という都市へ送られる。そこは労働基準法その他あらゆる労働法規を守らなくていいという特別な場所で、俺たちは多分そこで残りの一生を過ごす事になる。
     夕闇の中、専用列車は出発の時を待っていた。俺は鉄格子の隙間から線路の下の道路の光景をながめていた。するとバスターミナルに一台の路線バスが滑り込む。運転席の上の表示板に「生活保護センター行」と書いてある。
     そのバスに若い一団が嬉々として乗り込んでいく。その中に俺は真紀の、かつての俺の恋人の姿を見つけた。俺は無駄だと分かっていても、そうする事を自制できなかった。
    「開けてくれ!」
     俺は列車のドアを拳で叩きながら怒鳴った。防弾強化ガラスのドアを何度もたたき続けるうちに手から血がしたたり落ち始めたが、俺は痛みを感じる事も忘れ、ゆっくり動き出した列車の中から必死にそのバスに向けて手を伸ばそうとした。
    「お願いだ!俺も連れて行ってくれえええええ!」
     俺の叫びは彼女に届くはずもなく、夕暮れの薄闇の中で動き出した列車の音に無情にかき消されて行った。

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    コメント

    • おもしろいです。描写も緻密で、映像が見えるようでした。
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    • 超常現象系と違うタイプの怖さですね。理不尽系のユーモアを感じます。願わくば具体的な就業の様も見てみたいところです。
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