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シリーズ:赤い布
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赤い布

作者:多島よしお

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    短いホラーを書いてみました。
    ヒュードロドロっていうお化けがでてくるアレではないです。


    登録ユーザー星:2 だれでも星:0 閲覧数:149

    赤い布 3803文字

     




    「赤い布」










    私はクリーニング店の受付をしているAです。
    今年で2年目になるのですが、先日変な電話があったのです・・・

    うちのクリーニング店では、会員カードを作れば使用できる自動機械があり、24時間自動で受け取りと引き取りが利用できるようになっています。
    結構このサービスは人気で、店が空いてる時間に来れないお客様なんかに喜ばれています。

    昼休憩が終わり、少し眠気が現れる午後の時間帯。お客様も減ってきて少し手持ち無沙汰になっていると、電話が鳴った。

    「お電話ありがとうございます。○○クリーニングです。」

    「・・・・」プツ ツーツー

    すぐに電話は切れてしまいました。まぁ、よくあるイタズラ電話だろうとあまり気にしてはいなかったのですが、翌日また同じ時間帯に無言電話がかかってきたのです。同僚にこの事を伝えると、その子が勤務時の同じ時間に無言電話があったそうです。
    相手は非通知、着信拒否をするわけにもいかずそのまま数週間が立ったある日、いつもの時間に電話がかかってきました。その日私は少しイライラしていて電話を切られる前に何か言ってやろうと思っていました。

    「お電話ありがとうございます。○○クリーニングです。」

    「・・・・こんにちわ」

    私は無言電話だとばかり思っていたので、いつもの対応をできずにハッと息を飲み言葉を出せないでいると、受話器越しの相手が話出しました。

    「あのぉ、お宅のお店は24時間利用できるっていう、のが、あるんですよね?」

    「・・・っあ!は、はい!会員カードを作っていただければご利用できますよ!」

    「あのぉ、それを・・・利用したいんですけど、カードって、その機械で作れますか?」

    「いえ、会員カードは店頭でのみお作りしておりますので、ご来店いただく事になりますね」

    「そう、ですか・・・あのぉ、どうしてもお店に行かなきゃですか?」

    「えぇ、お手数をお掛け致しますがお願いしております。」

    「そう・・・ですか」ここでガチャッという音と共に電話が切れた。

    やはり先ほどの相手はいつも無言電話をしていた犯人なのだろうか?
    不審に思いながら終わってない業務を終わらそうとカウンターに出た。
    ふと、出入り口に目をやると。
    紺色のセーターに灰色のぶかぶかのスラックスを履いた男が携帯片手にこちらを覗いていた。
    その顔は40代くらいの普通の男性だったのだが、固めをウィンクするように瞑っており、開いている目はジッと私を見ていた。
    不気味なその男はニタァと黄ばんだ歯を剥き出し私に笑いかける。
    ぞっと悪寒がしたが、お客様だと思いその男に笑いかけた、すると自動ドアの目の前まで男が歩み寄ってくる。「あぁ、やっぱお客様だ」そう思い入ってくるその男にいらっしゃいませーといつものように接客をする。

    「あのぉ、会員カード、作りたい、ですが」

    あの電話の声だ、あの男だ。
    なぜ店の前で電話をかけてきたのだろう?と思ったが、会員カード手続きを進めていくと別におかしい人では無さそうで私はホッと胸を撫で下ろす。

    「深夜にね、その、出すのが一番・・・ね、良いんだよね」

    「そうなんですか、お忙しそうですね。」

    「うん、あのぉ、良いサービスだね」

    「はい!結構忙しい方には喜ばれてますねー」

    他愛もない会話をしながら会員カードを発行し、男に手渡す。

    「どうもね、あのぉ、まぁ、利用しますね・・・」

    「はい、ありがとうございました!」

    その男はボリボリと頭を掻くと、ウィンクしていた片目をもう片方の手で見開く。

    「あのぉ、すぐに出すので」

    ヒッという声が私から漏れる。口を手で抑える。
    男はまた、にたぁと気持ちの悪い笑みを浮かべお店を後にした。

    男の指に無理やり見開かれた片目の中には、血のような、赤い色で染まった布が入っていた。
    ズッと奥の方まで入ってるかのように想像してしまい、吐き気がした。
    まさか、あれを出すつもりなのか?まさか、そんな気持ち悪い・・・。ありえない。

    男が店を出た後も、私はカウンターの前で足が地面に埋まっている感覚で唖然としていた。



    翌日、私はお店を休んだ。理由は風邪を引いたという事で、もちろん嘘ですが。
    この事を他のスタッフにも話すべきだろうか、信じてもらえるかどうか不安でしたが、一番仲の良い同僚にその事を話してみました。
    同僚は真剣に私の話を聞いてくれ、その事を社員の皆にも、工場の人にも伝える事になりました。
    もともとうちのクリーニング店では、糞尿や血液のついた品物は洗濯できない事になっていたのでそういった点で注意を全員に促しただけだったのですが・・・。

    結局、自動機械で受け付けた品物の中に「血のついた布」は一枚も出されていないみたいで、なんだか夢だったんじゃないかと思うくらい非現実的な出来事でした。
    そんな小さな事件も、日にちが経つと忘れていくもので。それから半年の月日が流れました。


    閉店時間になり、私はレジのお金を金庫にしまうために店内の奥の方に行きました。
    すると、入口の方からうっすらと物音が聞こえました。たまにいるのです、閉店時間になっても来るお客様が。
    「はー仕方ないな」と思いながらカウンターの方へ向かいました。入口を見ても誰もいません。
    今日は風が強いからドアが鳴ったか、と奥の金庫に向かおうとすると

    「あのぉ」

    私はピタリと足を止め、横目に声のする方に目を動かしました。

    「あのぉ、これ、出したいんですけど・・・」

    ベチャッ

    カウンターへ無造作に投げられた赤い布。
    独特な血の臭いが私の鼻腔を突く。

    いつの間に入ってきていたこの男は、あの時の男だった。
    紺色のセーターの端っこを指で、汚れを拭き取るかのようにつまんでいる。
    片方の目でジッと私を見ると、震える唇で笑顔を見せた。

    もう、耐えられない。気持ちが悪い。吐き気を抑えようと唾を飲み込むと、臭いが奥に入ってくる。

    「うぅっ」手で鼻を抑えるが、一度刺激した臭いが離れようとしない。
    涙ぐみ、その場でうずくまる私に

    「どう、かしました・・・か?」
    優しい声をかける。だが、その声を聞くだけであの時がフラッシュバックして私はその場で嘔吐してしまった。

    嘔吐く呼吸を必死で抑え、その男に「それは・・・うちでは受けられません・・・」必死で伝えた。

    「え、と・・・なぜ?です?」

    本当に何を言ってるのか分からないような顔でカウンター越しに首をかしげる。
    ここで、きちんと説明しないとダメだ。またこのお客は来るだろう。と思い、私はひと呼吸おいて答えた。

    「・・・血液がついてる衣類はお受けできません。申し訳ございませんが、お引き取り願えますか?」

    「血?血がついてるんですか!?どこに!?」いつもの弱々しい声と打って変わって、急に大きな声で訴えかけてくる。

    「その、布全体に、真っ赤に、ついてるじゃないですか・・・」
    私が涙声になりながらたどたどしく声にすると




    「これは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だこれは白だ」

    男の黒々とした片目が瞳孔を開き私を見つめ、これは白だ、これは白だと言葉を繰り返す。まるで機械のように。










    目を覚ますと、そこは病院でした。

    心配そうに見つめる母と父がいます。
    何があって倒れたのか、鮮明に覚えている事が。とても私を苦しめる事になりました。
    あれから赤い色を見ると、過呼吸のような発作を起こすようになりました。

    時々、その時の夢を見てしまうのです。



    機械のように これは白だ と言ったと思うと。その男はカウンターに置かれた血塗りの布をつかみ取り、まるで私に見せつけるかのように瞑られた片目に押し込むのです。
    息を荒げ、見開いた目は私を見つめながら、奥へ。奥へと。

    耐えられず私が声を荒げると、奥の事務所へつながるドアから社員の方が出てきてくれました。
    そこからはもう、記憶にはありません。
    話によると、社員の方数名が警察と救急車を呼び、その男は捕まったそうです。

    精神障害者センターに入室していた患者さんだったそうです。

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    コメント

    • はじめまして。
      描写がすごく怖かったです。血の生臭いにおいまで漂ってきそうでした。ただ、ラストがわかりにくかったです。
      ホラーコンテストに応募しないのですか・・・?うわ、upが2013年じゃないか。もったいないです。多島さま。ぜひ、ホラーに参戦してくださいませ。この作品も。これからも。コメント読んでくれることを祈ります。
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