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シリーズ:【BL】必然の錯覚-男の性-
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【BL】必然の錯覚-男の性-

作者:瀬根てい

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    ボーイズラブ小説コンテストの「最終選考作品」に残していただきました「必然の錯覚」の番外編です。
    二人が大学時代のお話です。

    ※サイトに掲載しているものと同じです。
    2009年3月執筆


    登録ユーザー星:4 だれでも星:5 閲覧数:1751

    【BL】必然の錯覚-男の性- 2871文字

     

     テレビ台の中に、剥き出しのまま置かれた片手サイズの円盤が目に付いた。ラベルを見ると去年出たアクションゲームで、その下は半年前のパズルゲームだった。
    「お前、ゲームソフトしまってないのかよ」
     浩太はソフトを眺めながら、風呂へ行こうとする聡史の背に声を掛けた。
     振り向いた聡史はテレビ台の方を見て「ああ」と思い出したように頷いた。
    「大学の同期が来ると中身だけ置いて帰るから、ケースだけ足りないんだよ」
     また次に来た時やるからといって毎度置いていき、その繰り返しで聡史の部屋にはソフトが溜まっていくらしい。
     つまり、持ち主の元には空のパッケージしかないというわけだ。
    「空箱持っててどうすんだよ」
    「暇つぶし程度だから、別にあってもなくても構わないんじゃないか。やりたいゲームあったら持っていっていいぞ。説明書無いけどな」
    「いいのがあったら、そうさせてもらうわ」
     今度こそ浴室へ向かう聡史を見送り、浩太は座り直してから物色を再開した。
     扱いがぞんざいとはいえ、傷付かないようにソフトを一枚ずつチェックしていく。
     ジャンルは多様で、確かに置いていくだけあってどれもそこまで魅力的とは言い難い。
    「伝説のクソゲーまであるのか。こっちはシリーズの3だし……1がやりたいんだけどなあ」
     興味のあったゲームはあったが途中からで、最後の一枚まで見ても1は見つからなかった。念の為再度見直すが、やはり見当たらない。
    「まあいっか」
     諦めて積まれたソフトを戻そうとして、奥でひっそりと佇む円柱に気が付いた。重みのあるそれを両手でそっと引き出し、浩太は一枚目を持ち上げてから停止した。
     円柱の頂上にあったのは他に比べ古いソフトで、発売して間もなく浩太もプレイした覚えがある。
     だが、次に見えたタイトルは浩太の知らないものだった。
    「な、なんだ? 人妻<<乱れ柳>>……え?」
     流れるような文字で書かれたタイトルを凝視して、まさかと思い次のディスクを手に取る。
    「発進痴漢電車五号? 緊縛喫茶? これって……」
     もしかしなくても、エロビ??ビデオではないが??だ。
     淑女から童顔美女。
     連発物からハードプレイまでそれはもう、多種多様に。古今東西男の欲望に応えた物がそこに積まれていた。
     タイトルからうっかり中身を想像してしまい、浩太は自然と前屈みになった。
     ゲームはともかく、これはパッケージがなくてよかった、とよくわからないことで安堵した。
    「しっかし……聡史のやつ、こんなの見るのかよ」
     性に盛んな成人男子がエロビを持っているのはおかしくはない。浩太だって自分では持っていないが、大学の友人に借りて観たことはある。
     だが聡史が……となると、話は別だ。
     というよりも、聡史に性欲はあるのかと疑問すら沸いてくる。
     浩太の知っている聡史はあまり喋らず、いつも不機嫌そうな顔をしていた。クラスメイトに話しかけられても返事に心が篭っておらず、浩太は苦笑いしながらフォローをし、自分にだけ素を見せてくれるとこっそり優越感に浸ったこともある。
     その聡史が、画面に映る女性の裸を見て自慰に耽るのだ。

     唾を飲み込み喉が上下に動く。

     女性のわざとらしい嬌声があがり、次第に荒くなる息遣い。そして低く押し殺したような呻きと共に……。

    「俺は何を想像してるんだ」
     なぜか自分が恥ずかしくなり、浩太は見つけてしまったディスクを元通り戻すとガラスの戸を閉めた。
     頬がやけに熱い。
     親友の自慰を想像してしまったことに罪悪感を覚えつつ、浩太はテーブルを避けてごろんと仰向けになり、慌てて横向きになって体を丸めた。
     兆してしまった自身が、薄手のハーフパンツを持ち上げている。
    「どうすんだよ、これ……」
     まさか人様の家で抜くわけにもいかず、浩太は聡史が戻る前に治めようとじたばたと体を動かした。
     悶々としているのは、DVDの中身を想像してしまっただけなのか、それとも……。
    「くそっ、静まれ俺の息子!」
     意味のわからない呪文を唱えていると、聞きなれた足音が部屋に近づいてくる。
     ??もう出たのかよ!
    「何か喋ってなかったか?」
     湯上りの聡史は人の気も知らず、さっぱりとした様子で入ってくる。
     乾ききっていない髪がいくつか束になり、額に張り付いている。血行のよくなった肌は火照り、喉元から襟に浮かぶ鎖骨に自然と目がいってしまう。
     袖から覗く腕は、決して細くは無い。
     答えない浩太に聡史は首を傾げてから、手に持っていたペットボトルに口をつける。ごくり、ごくりと音を立てて喉が動き、篭った息を吐き出した。
     途端浩太は先ほど想像してしまった友人の自慰を思い出し、ごろごろと転がって隅で小さくなった。とてもじゃないが、今の状態を見せられない。
     きっと顔は真っ赤に染まっているだろう。
    「どうした? 床は冷たいだろ。寝ころがるならラグの上にしろって」
    「いや、気にするな。俺は元気だ。今の俺は床と一体化しているだけだ」
    「何言ってるんだよ」
     近づく聡史の足音はラグに吸い取られたが、床に頭をつけている浩太にはしっかりと振動が伝わってくる。これ以上近づいてくれるな、と口を開こうとする前に、聡史から「ああ」と納得したような声が聞こえた。
    「中、見たのか?」
     聡史がしゃがみ何かを拾う気配がする。
     恐る恐る振り向いてみると、くだんのDVDを隠すように天辺に置いてあったゲームソフトが聡史の掌にあった。
     戻したつもりが、そちらに気がいってしまいカモフラージュに使っていたディスクを忘れていた。 「再生は、してない」
     否定する声に弱いものになる。
    「タイトルだけでどんな想像したんだよ」
     ゲームソフトをテレビ台に置き、聡史は面白そうに浩太を見やる。自分だけ慌てているのが悔しい。
    「元はといえば、そんなところにお前が置いとくから!」
    「俺んじゃないって。好き勝手置いてくんだから仕方ないだろ」
     とんだ災難だ、と浩太は諦めて床の上で胡坐をかいた。股間はだいぶ落ち着いている。
     親友の前でとんだ失態を見せてしまったが男の生理現象だ、仕方ない。
     がしがしと頭をかき、浩太は開き直って聡史を見た。
    「なんか面白いゲームないか? スカッとするやつがいい」
    「車をぶつけあうゲームならあるぞ。走れなくなるまでバトルするってやつだけど」
    「じゃあ、それでいいや」
     聡史が準備している間に浩太はクッションを二つテレビの前に並べ、コントロールを手にする。
     ゲーム機を起動して横に座った聡史から、ふわりとシャンプーの匂いがした。
     ??いい匂い、だよな。
    「浩太?」
    「……っ、な、んだよ」
    「操作方法聞いてたか?」
    「大丈夫だ。さっさと始めよう!」
     開始の合図と共に、コンピュータ含め数十台の車がフィールドを爆走する。浩太は無心になろうと画面を凝視し、攻略方法もわからないゲームに意識を集中させた。
    「エンジンやべえ! くっそ、バックで突っ込んでやる!」
    「煙あげてこっち来るな! 俺まで狙われるだろ」
    「聡史も道連れだ!」
     小長井家に二人の声が響き渡る。
     それぞれ秘めた想いを胸に抱きながら、夜は更けていく……。


    そして聡史は……
    「頼むから、俺の前であんな顔しないでくれ」
     呑気に眠る浩太を見ながら、一人悶々としていた。

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    作者紹介

    • 瀬根てい
    • 作品投稿数:14  累計獲得星数:171
    • web、同人、電子書籍でBL小説を書いています。
      精神面でも喧嘩でも強い受けが好き。少年からおやじまでこよなく愛する節操なしです。
      少しでも楽しんでいただけたら光栄です。
    • 関連URL
      サイト:http://moxic.net/

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