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シリーズ:怪異収集家 ~エレベーター~
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怪異収集家 ~エレベーター~

作者:能上成之

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    怪異を集めました。


    登録ユーザー星:12 だれでも星:0 閲覧数:262

    怪異収集家 ~エレベーター~ 1516文字

     

     飲食店に勤めていたY美さんは、自分が直接視たわけではないんだけどと、前置きした。
    「でも、店に来る半分近くの客が視たというので、信憑性があるのかなと思って」
     客が視たという場所は、その店が入っている三階建てテナントビルのエレベーターの中だった。
     夜の七時に開店するその店はビルの三階にあった。
     店に来る客はもちろんエレベーターに乗る。
     赤いドアの前でボタンを押し、しばらく待つと昇降機が着いてチンと音が鳴る。
     ドアが開くと一人の女が後ろ向きで乗っているという。客はエレベーターの女が降りると思い、中に入らずに待つのだが、女はいっこうに降りようとしない。ドアが閉まりかけるまで待ち、客は慌てて乗り込むのだが、先客の女はこちらを見る気配もなく、微動だにしない。
     客はマネキンでも置いているのかと、ちらちらと女の方を窺うのだが、なぜか急にぞっとして、これは見てはいけないものだと何となくわかってしまう。
     店のある階に着くと、ドアの開閉ももどかしくエレベーターから飛び出すという。
    「ママ、塩、塩」
     それを見た客は店に入るとなり、そう言い、ママはまたかと塩を客に振りかける。
     視た客は、怖がりながらもその手の話が好きな女の子たちに取り囲まれキャーキャーと騒がれるので、別に悪い気はしないらしい。
     逆に幸運かもしれないと楽観視している客もいた。
     だが、客には話せないが、ママ以下、Y美さんたち従業員には気付いてることがあった。
     視る客のほとんどがエレベーターの女は後ろを向いているという。だが、ごくたまに前を向いていたという客がいるのだが、その客は二度と店には来ないのだ。
     店が気に入らなかったとか、エレベーターの女が怖いために来れなくなったというのではないらしい。その人の消息が分からなくなってしまうのだそうだ。
     ある日、常連のB氏が友人を店に誘った。一緒に来るつもりが時間の都合が付けられなくなり、友人は遅れてくることになった。B氏が店で待っていると、携帯電話が鳴った。友人が道案内を乞うてきたのだ。電話を掛けたままB氏の道案内で、友人は順調に店に近づいているようだった。
     友人がビルにたどり着いたようなのに、電話を切らず世間話に花を咲かせているB氏を見て、Y美さんは店に来てから話をすればいいのにと苦笑した。
     友人がエレベーターに乗り込んだらしい。B氏は電話を押さえ、ママやY美さんのほうを見た。
    「エレベーターに女が乗ってるって。一階まで降りてきたのに降りないって、不思議がってる」
     小さい声で、ふざけるように笑った。
    「二階でも降りないってさ、あいつ、幽霊って気が付いてないな」
    「幽霊の前で電話してるの? こわっ。幽霊のほうに、『視えてる』って気づかれちゃう」
     少し霊感のある店の女の子が眉をしかめた。
    「三階でも降りないって、どういうことだって、うろたえてる」
     B氏は笑いをこらえきれず、ぷっと吹き出した後、友人との電話を再開した。
    「その女、後ろ向いてるだろ」
     そう言った後、B氏は不思議そうな表情で、ママを見た。「前を向いていたってさ。幽霊じゃないのかな。ちぇっ、面白くないな」B氏は前を向く幽霊のことは知らないらしかった。
     ママとY美さんたちがお互いの顔を見合わせた。
    「もしもし、もしもし、あれ? もう切ったか」
     B氏も電話を切った。友人が店に入ってきたら、幽霊の話をして怖がらせてやろうと待ち構えている。
     しかし、友人は待てど暮らせど店に入ってこなかった。B氏が電話をしても出ることはなかった。三階まで来て、気が変わったのか、それとも何か起こったのか、Y美さんたちも知る由がない。
     その後、B氏に友人のことを訪ねても、「あれからあいつとは連絡が取れないんだ」と寂しげに言うばかりだった。


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    コメント

    • 深夜に読んでとても後悔していますorz
      とっても怖い!(@_@)!
      どこかで、後ろ向きにエレベーター乗ってる幽霊の話は読んだ事があったのですが、前を向いているなんて・・・想像するだけでゾワゾワします(>_<)!
      • 3 fav
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    • またこれからホラーの季節が来るかと思うとワクワクします。
      結構みなさんホラーを書かれるので超楽しみです。
      怖い絵も好きなのでもし描かれた時は見せてくださいね←ムチャブリ
      • 2 fav

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    • 初めまして。
      拝読させて頂きました。

      こういった身近な場面のホラーが一番恐の恐怖でございますね...!!
      しばらくは階段で頑張ろうと思った次第です。

      以外でしたのが...コメント中の

      >「いる」という場所には行く気しません。えっ?だって怖いもん(≧◇≦)

      こんなに多くの恐怖作品を書いていらっしゃるのに...
      怖いのですねっっ!

      某作家様へのコメントの★ありがとうございました。
      • 3 fav
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    • はじめまして。
      読んでいただきありがとうございました。
      そうなんです。心霊スポットには行く気しません。だって怖いもん(≧◇≦)あっ、また言ってしまった。
      本物見たら絶対書けないと思います。パソコン打ってる時、後ろとか怖いから。後ろは壁なので大丈夫だと思うのですが(笑)
      でも、夜中に心霊映像をネットで見た後、すぐおトイレには行けますよ。お風呂にも入れます
      (≧σ≦)ワクワク
      • 3 fav

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    • これ、自分に置き換えると本気で怖いです。・゚・(ノД`)・゚・
      • 1 fav
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    • 70年代、ロメロ監督の「ゾンビ」が大好きでして。
      この前フリとエレベーターで大体察していただけると思いますが。
      エレベーター、怖いですよね。
      特に鏡つきのやつ。
      • 4 fav
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    • おお、同士(同志?)!!
      (≧◇≦)
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    • これからの季節、しばらくウハウハです。テレビチェックを欠かせません。最近ホラー映画のテレビ放映がなくなりさびしいです。わざわざ借りてまで観ないし。今は、呪怨の映画予告やってるけど、あれもクレームとか来たら放送しなくなるんだろうなと思ったりして。
      作中のお店ではないのですが、行ったら必ず「いる」という(エレベーターだったか、階段だったか忘れました)、繁華街のビルがあります。私は夜に出歩かないのですが、昼間そこを通ったことあります。ガラス張りにもかかわらず暗いなと思ったのを思い出します。ホラー好きですが、「いる」という場所には行く気しません。えっ?だって怖いもん(≧◇≦)
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    作者紹介

    • 能上成之
    • 作品投稿数:42  累計獲得星数:464
    • 読むのも書くのも、年がら年中、ホラーです。ホラー馬鹿です。
      脳みそがすぐ忘却の彼方に行ってしまうので、いつでも読めるように気になる作家さんをすぐフォローしてしまいますが、フォロー返しに気を遣わないでくださいね。なぜなら、ホラーしか読まないから。
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