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シリーズ:引き籠もり公爵の受難【第二回】
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引き籠もり公爵の受難【第二回】

作者:斑鳩青藍

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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     引き籠もり公爵の元に、新たな使用人がやって来た。
     天然キャラ全開で、早くも公爵リュシオンの機嫌が悪くなる。


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    引き籠もり公爵の受難【第二回】 6942文字

     



     「本日もお日柄もよく―――、引き籠もりで腹黒の公爵殿下」
     麗らかな春の陽射しが差し込む窓際で、優雅にお辞儀をしながらも嫌味を混ぜてくる相手に彼は嫌そうに眉を寄せた。
     「他に言う事はないのか?アージェント」
     「何かを考えいるか理解らない、人嫌い、毒舌家―――と言うのもありますが?」
     よくもまぁ、ポンポンと出てくるものでどれも当たっているだけに、当の公爵殿下は嘆息して「もういい」と制した。
     「今日は何だ?どうせ、碌な事じゃないだろう。大抵コーラル家の大叔母様か、サージル家のあいつ辺りが絡んでいる」
    「心当たりがおありで?」
     厭と言うほど、心当たりがあり過ぎた。何しろ彼は、遠慮なく誰構わずズバリと言うので、この二人とはぶつかる事しばしばである。この二人絡みの話は、嫌な予感しかしない。
     「―――お話すべきか、迷っているんです。貴方の引き籠もりが悪化しそうで…」
     引き籠もりの公爵殿下―――、そんな不名誉な渾名で呼ばれる男の名は、リュシオン・ロズウェル。三公爵筆頭ロズウェル家の若き当主である。アージェントは、そんな彼の執事しているが、当主も当主なら、この若き執事も執事で負けていない。どんな反応をするのかと、楽しそうな目をしている。
     「…言う気満々に見えるが?」
     「―――大公殿下が、次期大公に貴方を指名なさいました」
     「―――は?」
     「全く、は?―――です」
     明らかに面白がっているだろう若き執事は、困った顔をしながらも口は笑っていた。
    ※※※
     リュシュテンブルク公国―――北に万年雪のアルペン山脈、反対側は海にと挟まれたに小国である。
     君主は建国以来大公が務め、その勢力の中心にいたのは三公と言われる三つの公爵家である。一つは、嫁いで数十時経っても政に口を出してくる前公女テレーズがいるコーラル家、二つ目は現大公クレマン・ボルジアの異母弟テオドールが当主のサージル家、そしてもう一つはクレマン・ボルジアの実子と噂される青年が当主のロズウェル家である。
     三公は、大公選出の折には必ずその名が上がり、今回は特に注目された。三公は、次期大公から選出されるからだ。その有力候補と言われたサージル公爵家当主の顔は、苦虫を噛み潰したような顔で唸った。
     「―――アレが、大公だと?」
     「面白くなってきたじゃありませんか?父上」
     「そう呑気に構えていられん。アレが出て来ると言う事は、一波乱どころではない」
     「彼をそこまで警戒する意味が理解りませんが、私には」
     「人を不快にさせる男なのは確かだよ、マシュウ」
     次期大公の座を狙っていたテオドール・サージルは、その一言でアレと呼ぶ男の存在を吐き捨てた。
     三公サージル公爵家当主テオドール・サージルが機嫌が悪いのは、次期大公がよりにもよって問題児と評判のリュシオン・ロズウェルにと、現大公クレマン・ボルジアが指名した事による。
     三公の一つで筆頭公爵家の出と言う点では高く評価されるが、その性格に於いてはあまりいい話を聞いた事がない。毒舌で、人嫌い、偶に顔を出したかと思うとふらっと消える、何を考えているか、それとも考えいないのか、殆ど姿を現さない為、引き籠もり公爵と呼ばれている始末である。とてもじゃないが、政治を任せられる器ではないと、テオドール・サージルだけではなく多くのものが思っているだろう。
     対象的に、ワクワクしている男もいる。間もなく還暦近いであろう男が、一人の男を前に嬉しそうに表情を崩している。
     「―――焦ってあるだろうね。お前のように」
     「楽しんでいるのは、あんただけだ。後を考えて言え」
     「考えるさ、もちろん。誰かのように口は災いの元を絵に描いたように傷口を抉るような事をしたら、それこそ彼らに睨まれる。叔母上はともかく、テオドールはお前を嫌っている。精々頑張るんだね、リュシオン」
     ―――このクソ親父。
     口にしなかったものの、リュシオン・ロズウェルは現大公クレマンを睨んだ。陽気で悪戯好きと知られる現大公はボルジア大公家最後の当主だった。このままボルジア家に嫡子が誕生しない場合、三公から選出される。こんな性格だから、まともに振り回されるのはリュシオンであった。大公クレマンの恋人だったロズウェル公爵令嬢は、大公妃となる事だけは拒み、ロズウェル家から出る事はなかった。それが、リュシオンの母である。
     親子として名乗りあってはいないが、クレマンとリュシオンは親子である。
     ふたりっきりの時は、一国の大公は思いっきり砕ける。何しろ彼は未だにリュシオンの母ルイーサを愛し、その息子にルイーサを重ねている。頑固な所など、そっくりである。
    そんなクレマンが、次期大公にリュシオンはどうか?と会議に提案した事が、一気に騒がしくなった。
     「断る。そんな面倒なもの、あいつに譲れ」
     「テオドールにかい?相変わらず欲がないねぇ、お前は。その年で枯れるつもりかい?リュシー。父親としては嘆かわしい。僕とルイーサの子供が…」
     「気色悪い声だすな!いくつになったと思ってる!?」
     「うーん…五十八かな」
     ニッコリと笑うクレマンに、リュシオンはこめかみを抑えた。この男の何処に母は惚れたのかと、今更のように思うリュシオンである。もちろん、クレマンはリュシオン以外の者の前ではきちんとしている。大公の今の姿を見たら周りの人間は卒倒するだろう。特に、大叔母であるコーラル公爵夫人は。
     それでも断ると言い捨て、公邸を出たのが昼過ぎである。
     「―――これはお珍しい。ロズウェル公爵殿下」
     誰にも会わずに引き揚げようと馬の轡に手をかけたリュシオンは、軽く舌打ちをした。
     「何か用か?」
     「何もそう嫌な顔をしなくても」
     「これが素だ。あんたも、俺が大公に何故選ばれるのか―――って思ってる口だろ。ダルシアン伯爵」
     「逆ですよ。貴方は大公家の血を引いていらっしゃる。それに、三公を貴方なら纏められるかと」
     「御免だな。あんな一癖ある二人は。現大公ですらお手上げなものを。妙な期待は迷惑だ」
     「貴方は出てきますよ、何れまた。大公殿下はああ見えて、人を見る目は確かです」
     リュシオンは、フンと鼻を鳴らして馬に飛び乗った。そしてまさにその言葉通り、彼は大公選出に巻き込まれて行く事になるのである。



     リュシュテンブルク首都、その郊外に建つ煉瓦造りの屋敷を見上げ、少年は唖然とした。
     ―――使用人は、三日も保たず出て行く。
     そう、聞かされていたからだ。
     (やっぱり、やめようかな)
     扉をノックしようか迷う事一時間、背後から如何にも機嫌の悪そうな声に「おい」と呼ばれた。
     「ひっ…!」
     「ひっ、じゃねぇ。入るのか入らないのかいい加減決めろ」
     立っていたのは、一人の男だ。レースのブラウス袖を覗かせた黒のジュストコールに、同色のズボン、ウエストコートを省いている所、そんなに身分は高そうに見えない。第一、背に流した黒髪は伸ばし放題で、鋭い視線ははっきり言って怖いと、少年の感想だ。
     「ど、どうぞ、お先に」
     「用があって来たんじゃないのか?それとも―――、嫌がらせか?」
     「ま、まさか!僕はこのお屋敷にお仕えする為に来たんです。嫌がらせだなんていきなり、失礼じゃありませんか!」
     「ふん、失礼なのはどっちだ。お前がそこを一時間も塞いだお陰で、後から来た奴は待ち惚けだ」
     「一時間って…、まさか、一時間も前からいたんですか?貴方は」
     「悪いか」と当然のように云う男に唖然となる。何と言う男だろうか。
     「俺も用があるのさ。だから早くしろ。入るか、入らないか」
     「は、入りますよ」
     扉をノックしようとして、不意に扉が開いた。
     「おや…」
     顔を覗かせたのは、美麗な青年だ。長い髪をゆったりと束ね、身なりも背後の男よりずっといい。
     少年は、思いっきりの笑顔でお辞儀をした。ここは第一印象が大事である。学んだばかりの貴族への礼を取った。
     「はじめまして、ハルカ・エルガーと申します。ロズウェル公爵殿下」
     青年は一瞬きょとんとした顔になった。
     「あの―――」
     何か、いけなかったのかな―――?

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    作者紹介

    • 斑鳩青藍
    • 作品投稿数:7  累計獲得星数:7
    •  斑鳩青藍(いかるがせいらん)と申します(≧∇≦)
       ファンタジー系、中華風、和風BL小説好きで、自分でも執筆したりしています。応援コメント、感想、レビューお持ちしておりますm(。_。;))m ペコペコ…
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